2002年01月12日
『バニラ・スカイ』
「夢判断」にはちょっと興味がある。「自動車の夢は性的好奇心の現れ」とか「裸で困る夢は乳幼児に戻りたい願望」とかいうやつね。興味があるのだからいろいろ調べてみたりすればよさそうなものだが、根が無精なのでほとんど何の知識もないまんまになっている。でも、そういう話を聞くのは好きだ。
夢判断でその人のすべてがわかってしまうとは思えないけれど、その時々の関心事とか精神状態なんかを知る手がかりにはなりそうな気がする。とくに悪夢。悪夢っていうのは切迫しているだけに、その人の心の切実なところが現れているんではないかと思う。
「バニラ・スカイ」の冒頭、主人公デヴィッド(トム・クルーズ)はこんな夢を見る。
マンハッタンの高級マンションから自家用車を運転して出勤するデヴィッド。いつもの通勤ルートなのだが、通りにはまったく人影がない。次第に不安になってくる。一日じゅう人、人、人でごった返しているはずのタイムズ・スクエアに出ても人っ子ひとり見当たらない。世界にたった一人きりの自分。恐怖に駆られた叫びが無人のタイムズ・スクエアにむなしくこだまする――というところでハッと目が覚める。大がかりで印象的なシーンだ。
この夢について彼の友人は、「月並みな解釈だけど」と前置きしながら、デヴィッドの心の底に潜む孤独感の表われだと分析する。
デヴィッドは辣腕の企業家だった父が遺した大出版社の筆頭株主。何不自由ないリッチな暮らしをしているが、金持ちのバカ息子というわけではなく、社のトップとしての仕事もちゃんとこなしているようだ。ルックスがいいし、性格も明るく鷹揚なので女にモテる(なにしろキャメロン・ディアスがセックスフレンドなのだ!)。
そんな満たされた生活を送りながらも、心の奥底には言い知れない孤独感を抱えているデヴィッド・・。うーん、カッコよすぎる。
ちなみに私がよく見る悪夢はこんな感じである。
舞台はその時々によって違うのだが、だいたいは学校やホテルなどの大きな建物の中だ。なぜか廊下が迷路のように入り組んでいるので、道に迷ってしまう。時折、他人とすれ違ったりもするのだが、みんな一様に押し黙っていてとても道を聞けるような雰囲気ではない。
歩き回っているうちにだんだんトイレに行きたくなってくる。しかし、トイレがどこなのかもよくわからない。だんだん切羽つまってくる。ようやく探し当てたトイレは、小学校の体育館くらいはありそうなコンクリート打ちっぱなしのだだっ広い空間(!)だ。見渡す限りの便器、便器、便器・・・。
シュールな光景にあっけにとられながらも、とりあえず用を足す私。ホッと一息ついて、さて立ち去ろうと思うのだが、またすぐにもよおしてしてきて便器の前にUターンしてしまう。出しても出しても、膀胱ははちきれそうなままだ。そのうちに便器の前から離れることすらできなくなってしまう。恐怖に駆られ、絶叫する私――というところでハッと目が覚める。飛び起きてトイレに駆け込む私・・。トム・クルーズとは比較にならない情けない悪夢である。
・・話を「バニラ・スカイ」に戻そう。
この後、さっきの夢がほんのプロローグにすぎないような悪魔的展開がデヴィッドを待っている。意外なストーリーを楽しむ類いの映画なので、あらすじは紹介しない。
そんな映画のどこが「癒される映画」なのか、と疑問を持たれるかもしれない。しかしラスト、それまでたいした意味がないと思われていたさまざまなシーンがジグソーパズルのピースのようにシパシパと組み合わされ、すべての謎が氷解すると、なんとも言えない爽快感を味わうことができるのだ。最高の気
分。例えて言うなら・・そうだねえ、ギリギリでトイレに駆け込んで用を足したときのような心地よい脱力感って感じかなあ。
・・・スマンね、こんなオチで(笑)
-Text by 輝-
ペネロペ・クルスってそんなに美人かしら?
キーワードは「夢」
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