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2001年12月06日
『サイダーハウス・ルール』
高校一年生の時のクラスに教育実習生がやってきた。ボサッとした髪型にメガネの男性で、おっとりと育ちのよさそうな顔つきをしていた。担当教科は美術である。初日、自己紹介を終えた彼は最後に「何か質問はありますか?」と付け加えた。すかさず、クラスの誰かが「最近の女性関係はどうすか!」と軽いジャブを放った。
適当に話をそらすかと思ったが、その実習生は少し考え込んでから、「コンパの帰りに友だちの彼女に誘われて夜の公園でセックスしました」と淡々とした表情で話し始めた。あんまりサラリとしているので、こっちのほうがどぎまぎした。「おいおい、授業中にそんな話していいのかよ」と思ったが、面白そうなのでとりあえず黙って続きを聞いた。
女のほうから誘ってきたとはいえ、相手は友だちの彼女である。すまないことをしたという意識もあって、彼は次の日、友だちの顔をまともに見ることができなかったという。だが、女のほうは違った。それまでどおり平然と笑っている。「女って恐いよなあ」とつくづく思ったそうだ。高1の私には今ひとつピンとこない話だったが、今ならよくわかる気もする。
公園で誘ってきた時も、その彼女はまったく悪びれるようすもなかったらしい。実習生は、している時の彼女の表情があんまりヌケヌケとしているような気がしてなんだか憎たらしくもあり、また一方では「これぞ女」という感じで美しくもあり、どうしても忘れられないという。
実習生は後になって、そのときの彼女の顔を思い出して油絵に描いた。「こんな感じの絵です」と言うがはやいか、彼は黒板に女のあえぎ顔のアップを描き始めた。アーティスト肌の人はこうなのか、とちょっとあっけにとられた。素早い手さばきで描きだされたその顔は、なんだか笑っているようにも見えた。
その後、彼女とはどうなったのか、友だちとの仲はどうなったのか、それも話を聞いた気がするのだが、なぜだか覚えていない。
「サイダーハウス・ルール」の主人公、ホーマーも友だちの恋人と関係する。
舞台は1940年代のニューイングランド。ホーマーは生まれ育った孤児院を飛び出し、大きなリンゴ農園で働き始める。相手の女、キャンディは農園の息子・ウォリーの恋人だ。若いのに妙に落ち着いているホーマーに対し、ウォリーは明るく快活。決して悪い男ではない。行く当てのないホーマーに、自分の農場の仕事を世話したのもウォリーだ。やがてウォリーは第二次世界大戦に出征する。残されたホーマーとキャンディは急速に接近していく。しかし、2人の関係に暗くうしろめたい雰囲気は感じられない。屈託がなく、サワヤカな感じすらする。そこが逆に切ない。
戦争から帰ってきたウォリーはケガで半身不随になっていた。キャンディには、そんなウォリーを捨て去ることなどとてもできない。時を同じくしてホーマーの育ての親・ラーチ医師が亡くなったという知らせが入り、ホーマーは孤児院に帰ることにする。2人の別れは静かだ。車椅子のウォリーのかたわらに立つキャンディと、トラックの荷台に乗り込んで走り去るホーマー。2人のちょっと呆然としたような視線がほんの一瞬からみあうだけ。だが、その静けさが、どんな愁嘆場を見せつけられるよりもはるかに強く印象に残った。いい映画である。
-Text by 輝-
感動ものです
生きる上での大切なこと
居心地が良い
タイトルの意味を知って納得しました
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