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2001年11月29日
みんなのミュージカル入門 「レッスン1 ミュージカルはカラスミである!」
子どもにはわからない、大人の味覚というのがある。ウニとか、ホヤとか、カラスミとか。飲みものだったら、ビールなんかもそうだろう。子どものころにビールを飲んで苦かったからといって、その後もずっと飲まなかったら、一生ビールのうまさを味わうことはできない。・・不幸な人生だ。
映画もそれと同じ。ミュージカル嫌いな人は、
「ミュージカルって、道端で突然歌い出したりするじゃん。アレってたまらなく恥ずかしいよね~」
などと言って、けっしてミュージカル映画を観ようとしない。観たとしても、はなっからバカにしてたりする。「ピーマンきらい!一生食べない!」とぶーたれてる子どもと同じだ。私はそう思う。
5年ほど前のことだっただろうか、沖縄に出張した私は、石川市の大衆食堂で山羊肉の煮込みと刺し身を生まれて初めて食べた。鼻がまがりそうな獣臭に、半分ほど残してギブアップした私。だが、「山羊肉なんて二度と食いたくない」とは思わなかった。カウンター席で同じ品をさもうまそうにパクつく野球帽のオヤジを見て、「あのオヤジは俺の知らない味覚の世界を知っている。うらやましい。俺もいつか・・」と闘志を燃やした。機会があれば、たぶんまた注文するだろう。
映画だって、1回や2回観たくらいでその作品を全否定したりするのはどうかと思う。ちなみに私が一番好きなミュージカル映画は「バンド・ワゴン」(53年、米、ビンセント・ミネリ監督)なのだが、最初に観たときには正直言って良さがわからなかった。それだけ「ガキ」だったわけだ。3回目に観たときにやっと「これは傑作だ!」と気づいた。近所のレンタルビデオ店で500円で売っていた中古ビデオを手に入れ、今でも折にふれ見返している。
まだほとんどミュージカルを見たことがなかった中学生のころのこと。日曜の午後にNHK教育で放送していた「サウンド・オブ・ミュージック」(65年、米、ロバート・ワイズ監督)にチャンネルを合わせた私。冒頭シーン、ハイジのような服装で、オーストリアののどかな山道をスキップしながら高らかに歌うジュリー・アンドリュースが目に飛び込んできた。10秒でチャンネルを変えた。生意気盛りだった私には「小鳥さんおはよう!」的雰囲気がたまらなく恥ずかしく見えたからだ。
――それから10年。さまざまなミュージカル体験を経た私は、NHK衛星第2で放送された同じ作品に再チャレンジした。たしかに冒頭シーンはちょっと恥ずかしかったが、そのまま観つづけた。感動した。お子様向けの甘ったるい映画だと勝手に想像していたのだが、そんなことはなかった。ナチに抵抗して無茶なアルプス越えを敢行するトラップ一家の根性。スゴい奴らだ。家族全員、歌もプロ級だし(当たり前か)。
そこで教訓。「道端でいきなり歌いだす」ミュージカルの世界にとにかく早く慣れること、それがミュージカルを心置きなく楽しむための第一歩だ!
(つづく)
-Text by 輝-
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